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「厳しいノルマ、休日にLINE100件」賃金未払いで是正勧告の「ジェイエステ」 従業員4人が訴え

「無駄な仕事をしているわけではなくて、業務はやりきれないほどあるのに、人手が足りない」

全国に100店舗以上を展開するエステ「ジェイエステティック」の東京都内2店舗が昨年、労働基準監督署から是正勧告されたことをうけて、現・元従業員4人が1月11日、厚生労働省で記者会見した。4人は、労働時間の管理が不十分で休憩時間が取れない——などと、職場の問題点を訴えた。

どんな働き方をしていたのか

4人は20代前半〜30代前半で、労働組合エステ・ユニオンの組合員。匿名・顔写真撮影不可という条件で記者会見した。

20代前半のAさんは入社3年目。朝9時台から出勤し、退勤は夜9時すぎ。施術から事務まで、店舗のさまざまな仕事をやってきた。昨年7月にうつ病と診断されたという。

タイムカードを打刻後に、施術の練習や朝の準備、顧客のカルテチェックなどの残業をすることが多かった。休日出勤もあったが、記録を残さないようにと、ゼネラルマネージャ(本社にいる店舗の管理責任者)から言われていたと話す。

休憩時間も適切に確保されておらず、多くて40分、少ないと15分。カルテチェック、電話対応、会計、洗濯などの業務に追われていたという。

Bさん(30代前半)は入社8年目の店長で、顧客のカウンセリングやスタッフ育成、本社とのやり取りなど、店舗責任者としての仕事をこなしてきた。

昨年4月には14連勤を含め、月に96時間の時間外労働をした。Aさんと同じく、タイムカードの打刻後に働くよう指示されていたという。

休日も、1日100件ぐらいのLINEメッセージが来て、返信しないとゼネラルマネージャに怒られるため、気が休まらなかった。昨年8月にうつ病と診断されたという。

長時間労働の背景は

どうして長時間労働をしなくてはならないのか——。記者会見後、BuzzFeed Newsは4人に尋ねた。

「厳しいノルマが課せられ、達成しないと問い詰められる」「無駄な仕事をしているわけではなくて、業務はやりきれないほどあるのに、人手が足りない。新しく入ってくる人が居着かない」……。

4人は口々にそう話した。それぞれ転勤を経験しており、他の店舗の同僚からも同じような話を聞かされているという。

すでに会社を離れたBさんは、少し寂しげに、こう話した。

「私たちはみんな仕事が好きです。長時間でも働こうという気持ちもあります。でも、長時間労働をしてもそれが報われないと、段々キツくなってくるんです」


「ジェイエステティック」を運営するザ・フォウルビは昨年、都内の2店舗で労基署から是正勧告を受けた。

中央労働基準監督署は昨年8月、中央区内の店舗に次のような内容の是正勧告を出した。

  1. 残業をさせるための「36協定」が結ばれていなかった(違法残業)。
  2. 必要な休憩を取らせていなかった。
  3. 休憩時間に働いた分に対して、賃金が支払われていなかった。
  4. 定時前の早出出勤、定時後の残業、休日出勤等に対して、法律通りに「1分単位」で計算して割増賃金が支払われていなかった。

品川労基署は昨年11月、上記の2. 4. と同内容の是正勧告を、品川区内の店舗に出した。

組合側が記者会見を開いたのは、「2店舗で同様の是正勧告が出されたこと、一般従業員だけではなく店長の労働環境についても是正勧告が出されたことなどから、違法な労働環境が全社的に広がっている可能性が高い」などと考えたからだという。

会社側は

一方、ザ・フォウルビの担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対し、次のように話した。

「是正勧告を受け、改善に努めております。未払い賃金の部分では、組合側と過去6回ほど交渉を重ねている。当社としては今後も真摯に対応したいと考えています」

一方で、残業代と労働管理については、会社として残業時間をごまかしていたわけではないと反論した。

「会社としてはタイムカード打刻後に仕事をしろとか、タイムカードを押さないで休日に仕事をしろといった命令はしていません。しかし、是正勧告を受けてヒアリングをした結果、事実としてそういう事が行われていたことがわかりました。本社もつかみきれていなかった。慣例のようになっていたようです」

「本社から全店舗の従業員に向けた通達を出して、こうしたことがないよう周知徹底をしました。通達事項は休憩室に張り出して改善をしています」